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変形労働時間制とは

なぜ変形労働時間制が必要なのか?

労働基準法では、「1日の労働時間は8時間、1週間の労働時間は40時間(業種・規模によっては44時間)」と定められています。

しかし、業務内容や雇用形態によっては「1日8時間・1週40時間」では効率的な労働を促進できないことがあります。

例えば、繁忙期と閑散期の差が激しい業界では、一か月の総労働時間が一般的な水準だとしても、時間外労働が嵩み、割増賃金によってコストが余分にかかってしまいます。以下を比較してみてください。

■A社
労働時間:160時間/月
時間外労働:0時間/月

総労働時間:160時間/月

■B社
労働時間:156時間/月
時間外労働:4時間/月

総労働時間:160時間/月
※A社・B社とも1時間あたりの賃金は同じとする。

このような場合、総労働時間が同じにも関わらず、割増賃金によってB社の方の人件費が高くつきます。さらに言えば、総労働時間がB社の方がA社より少なかったとしても、もし時間外労働が一定量あると、B社の方がコスト高になる場合もあります。同じ総労働時間なのに、時間外労働があるばかりにコスト高になってしまっては、B社にとっては無駄なコストとなってしまいます。

しかし、変形労働時間制を導入することにより、特定の日または特定の週において法定労働時間を超える労働が可能となり、法定労働時間に縛られない形で、労働時間を定めることが可能となります。つまり、法定労働時間を超えた場合でも「時間外労働」にはならず、割増賃金を発生させないようにすることができるのです。多種多様な労働環境に対応するために、変形労働時間制は大変有用な制度です。

一方で、法定労働時間を超えた労働を可能とさせる点で、一見すると労働者の保護が不足しているようにも思えます。この点、変形労働時間制には労働者を保護する決まりが存在します。まず、前提として変形労働時間制は、無制限に法定労働時間を超えた労働を許可するものではありません。

変形労働時間制は、一定期間内において、特定の日や週の労働時間を法定労働時間以上にすることができますが、その一定期間内におけるトータルの労働時間は法定労働時間に準拠する必要があります。つまり、変形労働時間制を導入したとしても、導入していない場合と比べて、トータルの労働時間を増加させることはできません。当然、時間外労働が発生すれば割増賃金の残業代を支払う必要があります。ただし、通常の場合と時間外労働の計算方法が異なることには注意が必要です。

「変形労働時間制には残業代が発生しない」と考えている方は多いですが、変形労働時間制でも残業代は発生し、時間外労働の場合は割増賃金が発生します。変形労働時間制は、使用者におって無駄な割増賃金を減らす効果はありますが、労働者を不利な立場にさせる制度ではありません。

変形労働時間制の種類

変形労働時間制には大きく以下の4つの制度があります。

  1. 1カ月単位の変形労働時間制
  2. 1年単位の変形労働時間制
  3. フレックスタイム制
  4. 1週間単位の非定型的変形労働時間制

以下、各制度を解説します。複雑で理解し難い制度もありますが、全ての制度において、時間外労働が行われた場合に割増賃金の残業代が発生します。

1カ月単位の変形労働時間制

1カ月単位の変形労働時間制は、月の中で忙しい時期と忙しくない時期が分かれている場合に有効な制度です。例えば、月末月初のみ忙しくて、それ以外は忙しくない場合です。

1カ月単位の変形労働時間制では、1カ月という単位の中で、所定労働時間を割り振ることができます。その際、特定の日または特定の週について、法定労働時間を超えることも可能となります。つまり、1日10時間の所定労働時間を設定することも、1週間に46時間の所定労働時間を設定することも可能です。

ただし、先ほども述べたように、平均して1週間の労働時間を法定労働時間の40時間を超えないように設定する必要があります。

以下、シミュレーション例となります。
1日(月)~5日(金)所定労働時間:46時間
8日(月)~12日(金)所定労働時間:36時間
15日(月)~19日(金)所定労働時間:36
22日(月)~26日(金)所定労働時間:36
29日(月)~31日(水)所定労働時間:23

まず、1週間の労働時間が40時間に収まる場合の総労働時間は以下となります。
週40時間÷7日×31日≒177.1

シミュレーションの合計はちょうど177時間なので、週平均40時間を下回っており、1カ月単位の変形労働時間制として有効です。

上記のシミュレーションは、通常の場合だと第一週で法定労働時間の40時間を超えているので、割増残業代が発生するのですが、変形労働時間制だと発生しません。同じ総労働時間なのに、コストを抑えることができて、使用者側としてはうれしい制度です。労働者からすると、通常の場合と比べて賃金がもらえないという点ではデメリットではありますが、総労働時間が増加しているわけではないので、不利に扱われているわけではありません。

割増賃金について

法定労働時間を「超える」と特定されていた期間において、その定められていた時間を超えた場合には割増賃金を請求できます。
つまり、上記シミュレーションで説明すると、第1週は所定労働時間が46時間というように、あらかじめ決められているので、実際の労働時間が48時間であれば、2時間分の割増賃金が発生します。ただし、第2週は所定労働時間が36時間であり、元々法定労働時間を超えない所定労働時間ですので、第2週に38時間の労働を行ったとしても、割増賃金は発生しません。

法定労働時間を「超えない」と特定されていた期間においては、法定労働時間を超えた場合に割増賃金を請求することができます。
上記シミュレーションの第2週は、所定労働時間が36時間とされていましたが、実際には42時間の労働を行っていた場合、法定労働時間の40時間を超えた2時間分の割増賃金が発生するのです。また、割増賃金にはなりませんが、所定労働時間から法定労働時間までの4時間分は通常賃金として請求することが可能です。

1年単位の変形労働時間制

1年単位の変形労働時間制は季節によって業務量が大きく変化する場合に有効な制度です。内容としては、1カ月単位の変形労働時間制が1年になったものと考えてください。

ただし、

  • 1日の所定労働時間上限10時間
  • 1週の所定労働時間上限52時間
  • 連続労働が可能な所定労働日数は6日

その他いくつかの条件を満たさなければ運用することができません。
※1カ月単位の変形労働時間制にも運用のための条件があります。

割増賃金の発生は、1カ月単位の変形労働時間制と同様の場合に発生します。

フレックスタイム制

導入企業が増えていることで、一般的にもメジャーになっている変形労働時間制の一つとして、フレックスタイム制があります。

通常の会社であれば、「始業9時・終業17時」というように、出社退社の時刻が決まっている場合が多いです。しかし、フレックスタイム制を導入すると、労働者は日々の始業・終業時刻を自身で決めることが可能となります。

フレックスタイム制では、1カ月以内の清算期間における総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者はその枠内で自由に始業及び終業時間を決定して働くことができるのです。ちなみに、清算期間とは、フレックスタイム制導入の際、実際に労働した時間と、あらかじめ定めてあった総労働時間との清算をするための期間のことを言います。

もちろん、出社・退社を全面的に自由にせず、一定の制限を設けることも可能です。

フレックスタイム制のもとでは、1日の中で必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、出社・退社を自由に行うことが可能な時間帯(フレキシブルタイム)を定めることができ、一定の制限を設けた上で、出社・退社時刻を労働者の裁量に任せることも可能なのです。とはいえ、コアタイムの設定は必須ではないので、全時間帯をフレキシブルタイムとして、出社・退社を全面的に労働者の自由にさせることも可能です。

また、フレックスタイム制においては、時間外労働の判断も通常と異なります。労働基準法では「1日8時間・1週40時間」の労働時間規制があり、この規制を超えると時間外労働として割増賃金が発生します。ですが、フレックスタイム制は労働時間のやりくりを労働者に委ねているので、労働基準法に定められている労働時間規制とはなじみません。そのため、フレックスタイム制では「1日8時間・1週40時間」を超えた労働を行っても、時間外労働とは判断されません。

ただし、フレックスタイム制でも時間外労働自体は発生します。フレックスタイム制では清算期間内の「総労働時間」で時間外労働の有無を判断します。清算期間内における総労働時間が、法定労働時間に準拠した範囲を超えると、その分は時間外労働として割増賃金が発生します。以下に具体例を示します。

清算期間を1カ月(31日)とした場合
清算期間における総労働時間の上限は以下の式によって求められます。
清算期間(31日)÷7日×40時間≒177.1時間

式によって求められた総労働時間は、法定労働時間である「1週40時間」を基に計算されており、この範囲内で労働を行っていれば、「1日8時間1週40時間」を超えて労働をしても、時間外労働とはなりません。177.1時間を超えた分が時間外労働となるのです。

ただし、フレックスタイム制には他にはない特別なルールが他にもあります。
それは、「不足時間分の減額」と「不足時間分の繰り越し」です。

例えば総労働時間の上限が177.1時間の場合に、実際に働いた時間が157.1時間だった場合に、労働時間が(177.1時間-157.1時間)分である20時間不足することになります。この不足時間を次のいずれかによって帳尻合わせすることが認められます。

  • 不足時間分の減額
  • 不足した労働時間数に応じた金額を給料から減額する
  • 不足時間分の繰り越し
  • 不足した労働時間数を、翌月に繰り越す

1週間単位の非定型的変形労働時間制

1週間単位の非定型的変形労働時間制とは、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができる制度です。

労働基準法では「1日8時間」が上限となっておりますが、この制度を使うことにより、毎日の労働時間を、10時間を上限に弾力的に定めることが可能です。

ただし、1週間の労働時間は40時間の範囲内にしておく必要があり、それを超えた分については時間外労働として割増賃金が発生します。

また、規模30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業に限定されています。

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